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シンドロームはウロボロス?

永久凍土から3万年前の巨大ウイルス

http://www.nationalgeographic.co.jp/smp/news/news_article.php?file_id=2014304002

シベリアの永久凍土の奥深くから、3万年以上手つ かずのウイルスが見つかり、研究室で蘇生に成功した。大まかに「巨大ウイルス」と分類されるものの新 種だと見られている。

フランスのエクス・マルセイユ大学に所属するジャ ン・ミシェル・クラブリー(Jean-Michel Claverie)氏 と シャンタル・アベルジェル(Chantal Abergel)氏 が率いる研究チームが、これまで知られていなかった ウイル スを発見した。ウイルスはピソウイルス・シベ リクム(Pithovirus sibericum)と命名された。

シベリアで発掘されたということで、毛に覆われた 凍ったマンモスの姿を想像するかもしれないが、そう では ない。巨大とはいえ顕微鏡サイズだ。それでも、 ウイルスの微小世界においては大きく、長さが1.5マ イクロメ ートル、直径が0.5マイクロメートルある。 これまで最大のウイルスだったパンドラウイルスは長 さ1マイクロメ ートル、直径0.5マイクロメートル。こ れも同じくクラブリー氏とアベルジェル氏のチームの 発見だった。

両氏は電子メールで、「“巨大”ウイルスとは、通 常の顕微鏡で見ることができるウイルスという緩やか な定 義だ」と説明してくれた。

◆複雑な巨大ウイルス

巨大ウイルスは、遺伝子の複雑さの面でも他のウイ ルスを圧倒している。今回見つかったピソウイルスは 約 500個の遺伝子を持つ。また、前述のパンドラウイ ルスには約2500個の遺伝子があるものもいる。

ちなみに、HIVウイルスは遺伝子が約12個しかない という。ネブラスカ大学の植物病理学者ジェームズ・ ファ ン・エッテン(James Van Etten)氏にコメント を求めたところ、そのように説明してくれた。同氏は ウイルス の権威で、今回の研究論文の編集を担当し た。

見つかったピソウイルスは、古代の永久凍土に3万 年以上閉じ込められていたにもかかわらず、まだ生き てい た。クラブリー氏とアベルジェル氏が研究室でア メーバと一緒にしたところ、すぐに感染したのだ。 「アメーバ は、ウイルスを捕まえるための安全なおと りとして用いている。その後すぐに、動物や人間の細 胞には感染でき ないことを確かめる」と、研究チーム は強調している。

巨大ウイルスは、通常のウイルスより大きいだけで はない。頑丈でもある。発見されたウイルスは、この 頑丈 さと好ましい環境が相まって、このように何千年 も無傷でいることができたようだ。ウイルスは多くの 場合、光 や生化学的分解などさまざまな要因によっ て、壊れたり動かなくなったりする。

◆複雑で多様なウイルス

大きくて遺伝子が複雑なウイルスの発見は、この10 年ほどルネサンスさながらの様相を呈している。ミミ ウイ ルス属、パンドラウイルス属、そして今回のピソ ウイルス属と、3つの明確なグループが見つかったこ とは、ウ イルスがこれまで考えられていたよりずっと 複雑で多様であり、巨大ウイルスはとりわけ珍しいわ けではない可 能性を示唆している。

ウイルスの遺伝子構造と形態が多様であると判明し たことを受け、ファン・エッテン氏は、タイプの違う ウイ ルスは別々に進化したのかもしれないと推測して いる。

「すべてのウイルスに共通の起源があるという考え方 は真実ではないのかもしれない」と同氏は話す。

◆気候変動でウイルス拡大?

長く埋まっていたウイルスを掘り起こすことが可能 なのだとすれば、地表に浮上してくるものが他にもあ るの ではないか。気候変動や産業活動によって古い氷 が振り混ぜられ、潜在的な病原体が表面に表われるか もしれな い。

クラブリー氏とアベルジェル氏は、「採掘と掘削と はつまり(中略)こうした古い地層を例えば数百万年 ぶり に掘り抜くということだ。 “生存可能”なウイ ルス粒子がそこにあれば、災難を招く格好の要因にな る」と述 べている。

一方、エモリー大学教授で微生物学者のエドワー ド・モカルスキー(Edward Mocarski)氏は、人間に 対して 病原性のあるウイルスが氷から放出される危険 性はとても小さいと話す。

モカルスキー氏は電子メールで、「そのアイデアは 素晴らしい映画にはなるかもしれない。しかし、いま 出回 っていないウイルスで死んで氷詰めになった人間 からウイルスがやってくるのでない限り、そのような 可能性は 極めて低い」と説明した。

ネブラスカ大学のファン・エッテン氏は、そのよう な状況は起こりそうにないが、条件がそろえば可能性 はあ るということに同意した。

そして、今回巨大ウイルスを発見したクラブリー氏 とアベルジェル氏は、現実的にどうなるかはともか く、そ のようなシナリオはあり得ると考えている。ふ たりの最新の研究が示すように、巨大なDNAをもつウ イルスが、 非常に長期間にわたり感染力を保持してい るかもしれない。

ふたりは次のように述べる。「大昔に死に絶えたネ アンデルタール人からウイルス感染するかもしれない とい う事実は、あるウイルスを地球から根絶できると いう考えは明らかに間違いであり、安全に対する誤っ た認識を われわれもたらしていることを証明してい る。少なくとも、もしもの時に備えてワクチンの在庫 は維持するべき だ」。

両氏の研究は、今後こうした古いウイルスによる脅 威の現実味の評価へと舵を切る。

「現在、こうした永久凍土層で見つかったDNAの分析 を増やし、人間の病原体に似た遺伝子サインを探して い る」とクラブリー氏とアベルジェル氏。そのような 病原体ウイルスを“蘇生させる”つもりなのではな く、潜在 的な危険性を突き止めたいのだと強調する。

「(人間の病原体が)見つかれば、危険性がより現実 になる。見つからなければ、安全だということにな る」。

今回の研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌に3月3日付けで発表され た。



複雑で多様なウイルスだが、ダブルクロス的にはウロボロスシンドロームみたいだな
また面白いシナリオネタなニュースである