ラブライブスピンオフSS 第6章
茉莉奈よ
ったく。今年の一年は操といい、沙樹といい、なんでこう生意気なコばかりのなかしら。その沙樹はアイドル研究部のエースであるあたしにケンカを売るなんて、大した度胸ね。
でも最後に勝つのはこのあたし。沙樹の鼻っ柱を折ってやるから。覚悟しなさい!
※ ※ ※ ※ ※
雪穂「ヨーイ…ドン!!」(スターターピストルを鳴らす)
(操、茉莉奈、沙樹、一斉にスタート)
操「うおおおおお!!!」
友歌「Σえっ!?いきなりあんなペースあげていいの?」
雪穂「あっちゃー…。やっぱり操ちゃんは負けず嫌いなタイプだね…。あんなにペースあげたら持たないよ(汗)」
百音「…操さん、大丈夫でしょうか…」
亜里沙「わー。操速い速い―!ハラショー!!」
操「おりゃりゃりゃーーー!!」(┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛)
雪穂(操の後ろを走る茉莉奈と沙樹を見る)「二人は…。お互いに自分のペースを保って走っているね。でもやっぱり牽制してるみたい。」
百音「そうですね。このあとどうなるかわかりません」
※一周目終了
操→一位
茉莉奈、沙樹→二位(僅差)
操「うりゃあああ!!」
友歌「タイムは…。これは速いのかな?」
雪穂「見せて。Σ嘘?同年代のタイムを上回っている!」
(高校生女子1000m平均タイム→http://xn--zckzah7832a9od.com/marathon-1500-1000-meter#1000m-2)
雪穂「さすがは茉莉奈ちゃん。去年より伸びてるよ」
百音「沙樹さんのはどうなのでしょう?」
雪穂「え?茉莉奈ちゃんとほぼ同じじゃない!なに?あのコ…」
雪穂「これは…最後までわからないかも」
※二周目終了
順位に変動なし
雪歌「…あれ?なんか操のペースが落ちてる…?」
雪穂「やっぱり。いきなり飛ばしすぎたのね。このままじゃ茉莉奈ちゃんと沙樹さんに抜かれちゃうよ」
亜里沙「操ー!負けるなー!」
百音「ファイトです!操さん!」
操(ニヤリ)
友歌「…え?」
雪穂「? どうしたの、友歌ちゃん」
友歌「…笑った」
雪穂「え?」
友歌「操が笑った…」
雪穂「え?友歌ちゃん。あんな遠くから見えたの?」
友歌「いえ。でもなぜかそう見えたんです。『俺が勝つ』って」
百音「私にもわからないんですけど…。操さんが微笑んでそう言っていることがわかりました」
雪穂「そうなんだ。やっぱりあなたたち三人(友歌、操、百音)は親友同士だからそういうことがわかるんだね。まるでお姉ちゃんと海未さんとことりさんみたい」
亜里沙「あ!見て!操が抜かれちゃったよ!><」
友歌「…操―!負けないで―!!」
操「…おうよ!こっから俺のエンジンは全開だ!行くぜ!」
※三週目終了
一位→茉莉奈、沙樹(僅差)
三位→操
茉莉奈(やはり操はペースが速すぎたみたいね。でも油断はできないわ。沙樹もいるし…。どうする? あたしからしかけるか…)
沙樹「高堀さんは脱落したみたいですね。茉莉奈さんはどうします? あなたから仕掛けますか? それとも私から行きましょうか?」
茉莉奈「すごい余裕ね。しかけるなたあなたからどう? しかけても追いついて最後に勝つのは、このエースのあたしよ」
沙樹「そうですか。ならお言葉に甘えて先に行かせてもらいます」(ペースを上げていく咲樹)
茉莉奈「ふん。そのぐらいのペースなんて私を抜こうなんて、十年早いわよ!」(同じくペースをあげる茉莉奈)
百音「あ、沙樹さんが先に仕掛けたみたいですよ?」
雪穂「二人とも勝負に出たね。残り二周の400メートルで決まるはず。操ちゃんは…がんばってる。まだ諦めていない顔してるよ」
操「うおーー!!」
※四週目終了
一位→沙樹
二位→茉莉奈(差は3メートル)
三位→操
雪穂「茉莉奈ちゃんと沙樹さんは…あれ?ちょっとずつだけど、茉莉奈ちゃんのほうが離されていない?」
亜里沙「え…。あ!ホントだ!」
雪穂「…やられた。余力を残していたのは沙樹さんのほうだった」
百音「あ、あ…どんどん離されていきます」
茉莉奈(何でよ!どんどん離されていくじゃない!このあたしが一年に負けるっていうの?冗談じゃないわ!このあたしをなめるんじゃないわよ!)
友歌「あ、茉莉奈さんがスパートをかけたみたいです」
雪穂「ちょっとずつだけど…差をつめてきたよ」
百音「操さんは…あ!見てください!ものすごいスピードで追い上げてきましたよ!」
操「おりゃあああ!!!」
友歌「茉莉奈さんと操の差も縮んできた」
雪穂「あと半周…。ここで勝負が決まるはず」
亜里沙「三人とも負けるなー!!」
茉莉奈(あと少しで…沙樹に追いつく。操は…。くっ、縮まってきた。でもあたしは負けない!)
(操←10m→茉莉奈→5m→沙樹→10m先にゴール)
茉莉奈(くっ…。よし追いついた!)
(ビュン!!)
茉莉奈(え?)
(それは一秒にも満たない時間、沙樹以外がスローモーションとなり、咲樹がゴールする)
友歌「あ…あう…?」
百音「え?え?」
雪穂「な、何が起きたの…?」
亜里沙「わぁ!沙樹が一番だよ!」
百音「え…。あ、は、はい」(ストップウォッチを止める)
沙樹「ふぅ…」
茉莉奈「…くっ…」
操「…はあはあ…ぜぇぜぇ…」
友歌「み、操。大丈夫…?」
操「ちっきしょー!!負けたー!!」
友歌「Σ」
操「ちきしょう。なんか納得いけねー!」
茉莉奈(沙樹を見て)「…あ、あんた…。もしかして今まで本気じゃなかったの…?」
沙樹「いえ、本気でしたよ。最後の10メートルからは。あそこまで追いつかれた時は正直驚きました。ただ走る前に言った通り、ラスト10メートルまでは、まったく問題はありませんでした」
茉莉奈「くっ…」
沙樹「どうしました?高堀さんが言ったとおり、納得しませんか?」
茉莉奈「いえ、この持久走はあんたの勝ちよ。恨みっこなしっていったのはあたしだからね」
沙樹「そうですか。さすがはアイドル研究部のエース。私も見習わないといけませんね」
茉莉奈「…もういいでしょ。これで今日は終わり。あんたも納得したなら道具を片づけておきなさい」
沙樹「わかりました。ではそうします」(その場を去る)
雪穂「ま、茉莉奈ちゃん。大丈夫なの?」
茉莉奈「ええ、大丈夫です。ここで怒っても仕方ないでしょう…。とりあえずあたしも記録をつけるとか、いろいろとしなきゃいけないことあるから、先に戻ってます」
雪穂「んー。ま、本人がそう言ってるんだし、大丈夫でしょ」
亜里沙「あ、そうだそうだ。ユッキー、百音。三人のタイムどうだった?」
友歌「操は…(全国の女子高校生の平均タイムを見てみる)前半飛ばしたせいか、若干遅いです…」
操「そっか。やっぱり悔しいぜー」(仰向けでじたばた)
亜里沙「茉莉奈はおしかったね。もうちょっとで平均タイムを上回っていたかも」
雪穂「沙樹さんは?」
百音「えーと…。平均タイムですね…」
亜里沙「ちょっと待って、百音。沙樹が一位でトップでゴールしてから、すぐに押さなかったでしょ?」
百音「あ…。そ、そうでした。すみません…」
雪穂「ということは…。百音ちゃんが沙樹さんがゴールした時点で止めていたら…。え?え?ええ!?平均タイムを上回っていることになるよ!!」
友歌「え!?」
百音「そ、それってすごいことなんですか?」
雪穂「すごいってもんじゃないよ!もし沙樹さんが中学の時に陸上部だったらこのタイムはうなづけるよ」
操「なんだってー!!じゃあなんであいつは陸上部じゃなくてアイドル研究部に入部したんだよ!やっぱり納得いかねー!!」
友歌「Σみ、操、落ち着いて―!?」
雪穂「でも操ちゃんの言うことも一理あるね」
百音「そうですね。あれだけの実力があれば、陸上部で活躍できると思います。それなのにどうしてアイドル研究部に入部したでしょう」
操「そんなもん、あいつの口から直に聞いた方が早いぜ」
友歌「だ、駄目だよ。そんなことしちゃ」
操「ユッキーはどっちの味方なんだよ!!」
友歌「Σご、ごめんなさい!」
亜里沙「操!ユッキーに八つ当たりはダメだよ!」
操「お、おぅ…。ごめんよ。ユッキー」
友歌「だ、大丈夫。でも確かになんで沙樹さんはアイドル研究部に入ったんだろう…」
雪穂「うーん。私も気になるけど…そういうことはあまり聞かない方がいいと思うよ」
友歌「はい」
雪穂「さぁ。三人とも、道具片づけちゃお。私も亜里沙も手伝うから」
亜里沙「うん、全員でぱぱっとやれば終わっちゃうよ」
友歌「はい」
友歌(でも…やっぱり、沙樹さんがどうして今回の事や説明会であんな言動をしたのか気になる…。もしかして昔、なにかあったのかな…)